SAH Sports Column

ひろしま×スポーツ×データ ~岡山県との比較から~【後編】

2.スポーツ施設

 続いては、する・みる・ささえるスポーツに最も重要な要素のひとつである「スポーツ施設」の比較をしてみました。なお、ここでのスポーツ施設は、社会教育調査で調査された「社会体育施設」を意味しています。社会体育施設とは、いわゆる公共のスポーツ施設(都道府県や市区町村立の体育館や陸上競技場など)と考えていただければ問題ありません。また、民間のスポーツ施設(スポーツクラブ・ジムなど)は入っていません。

 表の左から2番目の列には全国における施設数を示しました(表13)。最も多い施設は多目的運動広場で7,553ヵ所、次いで体育館7,102ヵ所、野球・ソフトボール場6,124ヵ所、庭球場(屋外)4,675ヵ所、トレーニング場1,752ヵ所となっています。なお、広島県における施設数が多い順に並んでいる点にご注意ください。全国の人口(1億2,644万3,000人:2018年10月時点)における10万人あたりの施設数をみると、最も多い施設である多目的運動場が5.97ヵ所であり、体育館5.62ヵ所、野球・ソフトボール場4.84ヵ所と続きます。


 次に、広島県の数値をみると、最も多い施設は多目的運動広場で284ヵ所、次いで体育館149ヵ所、庭球場(屋外)122ヵ所、キャンプ場85ヵ所、野球・ソフトボール場74ヵ所となっています。広島県の人口(218万7,000人:2018年10月時点)における10万人あたりの施設数をみると、最も多い施設である多目的運動場が10.08ヵ所、体育館5.29ヵ所、庭球場(屋外)4.33ヵ所、キャンプ場3.02ヵ所、野球場・ソフトボール場2.63ヵ所となりました。

 全国と広島県の10万人あたりの施設数を比較すると、多目的運動場(全国5.97ヵ所:広島県10.08ヵ所)、キャンプ場(全国1.30ヵ所:広島県3.02ヵ所)、水泳プール(屋外)(全国1.36ヵ所:広島県2.52ヵ所)といった施設は多く整備されている一方で、野球場・ソフトボール場(全国4.84ヵ所:広島県2.63ヵ所)、球技場(全国1.21ヵ所:広島県0.43ヵ所)といった施設は少ないことがわかります。参考までに、全都道府県における10万人あたりの施設数をみると、広島県で比較的多く整備されている多目的運動場(広島県10.08ヵ所:鳥取県19.46ヵ所)、キャンプ場(広島県3.02ヵ所:長野県5.57ヵ所)、水泳プール(屋外)(広島県2.52ヵ所:和歌山県3.64ヵ所)であっても1位の県とは差がみられます。


 最後に、10万人あたりの施設数を岡山県と比較すると、多目的運動場(広島県10.08ヵ所:岡山県7.96ヵ所)、体育館(広島県5.29ヵ所:岡山県4.79ヵ所)、キャンプ場(広島県3.02ヵ所:岡山県2.21ヵ所)、水泳プール(屋外)(広島県2.52ヵ所:岡山県1.63ヵ所)、ゲートボール・クロッケー場(広島県1.10ヵ所:岡山県1.00ヵ所)は広島県のほうが施設数が多く整備されています。反対に、庭球場(屋外)(広島県4.33ヵ所:岡山県5.53ヵ所)、野球場・ソフトボール場(広島県2.63ヵ所:岡山県5.16ヵ所)、トレーニング場(広島県1.31ヵ所:岡山県1.90ヵ所)、水泳プール(屋内)(広島県1.28ヵ所:岡山県1.74ヵ所)、柔剣道場(広島県0.71ヵ所:岡山県1.21ヵ所)、陸上競技場(広島県0.53ヵ所:岡山県0.79ヵ所)、球技場(広島県0.43ヵ所:岡山県1.74ヵ所)、弓道場(広島県0.32ヵ所:岡山県0.63ヵ所)は岡山県のほうが施設数が多く整備されています。

3.まとめ

 本コラムでは広島県と岡山県を比較することで、広島県のスポーツに関するデータを読み解くことを目的としていました。それでは、これまでの分析で判明した事実をまとめてみましょう。

【スポーツ実施率】

●広島県の年1回以上のスポーツ実施率(66.5%)は全国平均(68.8%)よりも低く、全都道府県の半分よりも下の順位(27位)である。

●広島県の男性の年1回以上のスポーツ実施率(72.7%)は全国平均(73.5%)よりも低いが、全都道府県の半分よりは上の順位(20位)である。

●広島県の女性の年1回以上のスポーツ実施率(60.7%)は全国平均(64.4%)よりも低く、全都道府県の半分よりも下の順位(31位)である。


【実施スポーツ種目】

●広島県で最も実施されているスポーツ種目は「ウォーキング・軽い体操」(38.5%)である。

●広島県では「つり」(11.7%)、「野球(キャッチボールを含む)」(8.2%)の実施率における全国順位が上位(4位)である。


【直接スポーツ観戦】

●広島県の直接スポーツ観戦率(32.9%)は、2位と大差を付けて全国一である。

●広島県は男性の直接スポーツ観戦率(36.7%)、女性の直接スポーツ観戦率(29.3%)のどちらも2位と大差を付けて全国一である。


【ボランティア】

●広島県のスポーツ等ボランティアの実施率(3.4%)は全国平均(3.7%)よりも低く、全都道府県でも下位(37位)である。

●広島県の男性のスポーツ等ボランティアの実施率(4.4%)は全国平均(4.6%)よりも低く、全都道府県でも下位(36位)である。

●広島県の女性のスポーツ等ボランティアの実施率(2.4%)は全国平均(2.8%)よりも低く、全都道府県でも下位(41位)である。


【スポーツ施設】

●広島県に多いスポーツ施設は、多目的運動場(284ヵ所)、体育館(149ヵ所)、庭球場(屋外)(122ヵ所)、キャンプ場(85ヵ所)、野球場・ソフトボール場(74ヵ所)である。

●広島県のスポーツ施設を10万人あたりの施設数でみると、多目的運動場(10.08ヵ所)、キャンプ場(3.02ヵ所)、水泳プール(屋外)(2.52ヵ所)は全国平均よりも明らかに多く、野球場・ソフトボール場(2.63ヵ所)、球技場(0.43ヵ所)は明らかに少ない。


【岡山県との比較】

●広島県が全国一である直接スポーツ観戦率を除けば、岡山県のほうが上回っている指標が多い。

 広島県のスポーツにおけるデータをみると、広島東洋カープやサンフレッチェ広島をはじめとする豊富なコンテンツをベースとした直接観戦率の高さが際立っています。これらは広島県民の財産であるとともに、将来に引き継いでいくべき素晴らしい文化だといえます。しかし一方で、スポーツ実施率やボランティアなどは決して高い数字とはいえません。今後は、全国に誇れる観戦文化を「する」スポーツや「ささえる」スポーツへと結びつけていく施策が必要となるでしょう。

 
 また、スポーツ施設の数については、人口比で分析すると人口の多い都道府県は不利な数値が算出されることを差し引いても、決して豊富とはいえません。特に素晴らしいトップスポーツのコンテンツがあるにも関わらず、「野球場・ソフトボール場」や「球技場」の少なさは寂しいものがあります。人口減・税収減の将来予測の中で新規にスポーツ施設を建設することは簡単ではありませんが、全国平均並には数値を引き上げていくことも検討するべきではないでしょうか。


 最後に、私たちSAHは、こうした分析やデータを用いながら、これからも広島県民がスポーツで笑顔になれるよう、さまざまな取組を行っていきたいと考えています。ぜひ一緒に広島を盛り上げていきましょう!