取材記事

疾風迅雷。オレンジ色の闘志を秘めて

 いわゆるスポーツバイクの流行で,広島のまちにも自転車に乗った人が多くみられ,県内には数多くのサイクリングスポットがある。私たちにとって身近な自転車だが,自転車の競技が8種目もあることを皆さんはご存知だろうか。


※UCI(国際自転車競技連合)が,自転車競技の種目数を8種目と定めている。


 その1つである「ロードレース」は,主に公道を使って行われ,200kmを超えるレースもあるほど過酷な種目とも言われている。ロードレースの歴史は古く100年以上前から開催されている「ツール・ド・フランス」は,皆さんも一度は聞いたことがあるだろう。


※ツール・ド・フランス…1903年から開催されている歴史的な自転車ロードレース。フランス国内や周辺国3,000kmを超える距離を約3週間かけて走り抜ける。


 ロードレースの場合,観客は沿道から観戦することができ,猛スピードで駆け抜ける迫力やチェーンの音,選手の声を間近で楽しむことができる。そんなロードレースの国内最高峰リーグに参戦しているのが「VICTOIRE広島」だ。VICTOIRE広島は,中四国初の自転車ロードレースのプロチームとして活躍しており,今季加入した小山貴大選手に話を伺った。

――広島の印象は?――

 んー,スポーツ熱ですかね!特にカープですけど,広島に来て,とにかくスポーツ熱が熱いって感じました!


――広島の他のチームとの交流は?――

 僕は広島ドラゴンフライズさんと一緒にイベントに参加したりしてますね。他にもいろいろ連携はあります。


――好きなスポーツやよく観戦するスポーツは?――

 結構色んな競技見ますね。カープの試合を初観戦しました。みんなカープのユニフォームやTシャツ着てますよね!


――広島の食べ物で好きなものは?――

 桐葉菓(とうようか)とかお好み焼き美味しいですよね。あと,練習コースの途中にあるよしおのたい焼きも美味しいです!シーズン中は食事制限もあって気をつけているんですけど,甘いもの好きなんですよ(笑)

※桐葉菓…広島県廿日市市にあるやまだ屋が製造・販売する和生菓子の一種。

※よしおのたい焼き…広島県山県郡安芸太田町にある鯛焼屋よしおのたい焼き。

――普段のスケジュールは?――

 基本的に3日練習してオフなんですけど,シーズン中も変わらないですね。


――オフの過ごし方は?――

 2日連続で休むことがないので,あまり観光には行けてないんです。宮島は行ったことあるんですけど。練習では色んな所に行ってるんですけどねー(笑)


――街で声かけられることありますか?――

 たまにありますね。練習の時いつもこのオレンジのウェアを着ているので,気づいてもらえることはあります。やっぱり声かけてもらえると嬉しいですね。自転車に乗っている人から声かけてもらうことがやっぱり多いですね。


――普段ママチャリって乗る?――

 全然乗ります!(笑)僕はクロスバイクですけど。チームメイトもみんな持ってますよ!コンビニとかスーパー行くならママチャリ便利ですもん(笑)不思議に思われるかもしれないですけど,他のチームの人も乗ってますよ(笑)

――サイクリングされている方へおススメスポットは?――

 野呂山ですかね?なかなか行けないと思うんですけど(笑)でも広島って普段から自転車乗っている人多いですよね?前は大阪に住んでいたんですけど,広島は多いなって感じます。自転車は負荷が少なく消費カロリーが多いので,自転車通勤したら健康的だなって感じます。


――そもそも自転車競技を始めたきっかけは?――

 両親がスポーツバイクショップでクロスバイクを購入したんですけど,その時に僕にもマウンテンバイクを買ってくれて,それがきっかけだと自分では思っているんですけど,正直いまいちわかってないところはあります(笑)


 昔から結構何でもやりたいと思う性格だったので,購入後,たまたまマウンテンバイクの大会を見つけて,出てみようと思って出たのが初めての大会ですね。幼稚園くらいだったと思うんですけど。


――1番最初に自転車に乗った時の記憶はありますか?――

 なんとなくはありますね。初めて走ったレースの記憶もなんとなくあります。小学2年生の時にロードバイクを買ってもらって,「ツール・ド・フランス」をテレビで観たのがきっかけで,自転車競技でレースに出ることが将来の夢になりましたね。

――今までの自転車競技を続ける環境について――

 ずっとプロ選手になりたいと思っていたんですけど,他の競技にも興味があったので,自転車競技だけじゃなく,中学生の時は陸上部にも所属してました。中長距離をやっていたんですけど,ロードレースに活かせる部分があったと思います。陸上はクラブチームにも所属していたので,結構頑張ってましたね。高校からは自転車部のある学校に進学しました。

――自転車競技を続ける場としてVICTOIRE広島を選んだ理由は?――

 高校卒業して大阪のチームに5年所属していたんですけど,今年から移籍してきたんですけど,VICTOIRE広島の中山監督に声をかけてもらったのがきっかけですね。今までもずっと気にかけてくれていたので。自分のことを必要としてくれていて,その熱意でこのチームで頑張りたいと思ったんです。


――VICTOIRE広島の特徴は?――

 他のチームは企業チームとして活動しているところが多いんですけど,VICTOIRE広島はプロチームとして地域に密着しているのが特徴だと思います。ファンの方も多いですし,地域に愛されているなって移籍して感じましたね。


――日頃から精力的に自転車安全教室を実施したりやイベントへ参加されてますね――

 そうですね。たくさん参加させてもらってます。最近だと,広島市内の商店街である本通りで自転車の盗難防止の為の啓蒙活動をしました。チームのサイクリングイベントもありますし,幅広いイベントに参加してます。今年はコロナウイルスの影響であまりできていないんですけど,例年だと僕たちが学校に行って,自転車安全教室を実施したりしています。

――裏方としても精力的に活動されている監督について――

 監督がいるからスポンサーもたくさん協力してもらっていると思うし,広島はスポーツが盛んで,色んなメディアに取り上げてもらっているので,頑張らないとなって思います。監督優しいです(笑)


――ホームページに載っているニックネームがユニークですね――

 「コヤーミー」と「スーパータカタカ」ですか?(笑)ニックネームを聞かれたときに何があるかなって思って,思いついたやつです(笑)最近チームメイトからは「マッシュ」って呼ばれてます。今までブログで「がんばりマッシュ」っていうタイトルでやっていたので,言いやすいのもあってマッシュって呼ばれてます。読んでいただけたら嬉しいです!

――「ロードレース」を一言で言うとどんな競技ですか?――

 スピード感が楽しめる競技ですね。平均すると時速40kmくらい?下りだと時速80kmくらいで,平地でも時速60kmくらいで走ることもあります。


――ロードレースの中でも様々種類がありますが,得意なコースは?――

 短い距離を周回するクリテリウムや山道を登るヒルクライムとか色々あるんです。どちらかというとアップダウンがある方が得意ですね。


――距離が長いレースだとレース中に他チームの選手と会話するのは本当ですか?――

 あー話しますね!結構話します(笑)普通に「最近どう?」って世間話とかします(笑)レース展開にもよるんですけど,集団が落ち着いている時は,趣味の話とかもしてますね(笑)


――海外の試合にも参加されていますが,国内との違いは?――

 やっぱりヨーロッパのレースだと集団が速いですね。集団の密集度も違います。走るレースにもよるとは思うんですけど,やっぱり海外のレースの方が激しさはありますね。

――駆け引きが重要な競技ですが,今までの試合で一番印象に残っている駆け引きは?――

 高校生の時に出場したネイションズカップの第2レースで逃げを決めたレースですかね。逃げっていうのが集団から抜け出すことなんですけど,自分の中でも結構動けたレースだったのでよく覚えてます。結果的に6位に入賞しました。


――レースの運び方で得意な展開がある?――

 どちらかというと逃げるタイプですね。スプリンターではないので,前に出だしたタイミングを見てもらえたら嬉しいです。

――最後に今季の振り返りと来季への目標をお願いします――

 今季はなかなか思うような走りができなかったので,しっかりトレーニングをして,来季は良い走りをして,地域の皆さんに恩返しできるようなレースをしたいと思います。


 世界大会への参戦も視野に活動しているVICTOIRE広島。今季は新型コロナウイルスの影響で中止となってしまったが,「広島クリテリウム」では,VICTOIRE広島の選手が目の前を駆け抜けていく姿は,まさに疾風迅雷。


※広島クリテリウム…2017年から開催されている広島の市街地初のロードレース大会。広島市西区商工センターエリア周辺の道路を封鎖して,選手たちが1.7㎞の周回コースを走り抜ける。


 オレンジ色の闘志を秘めて,今日も彼らは広島のまちを駆け抜ける。

【小山貴大(Takahiro Koyama)】

1996年生まれ。群馬県出身。幼少期からロードバイクに興味を持ち,本格的に競技に取り組む。年代別全日本大会でも好成績を残し,国際大会にも出場する期待の若手選手。

本取材にご協力いただきました

VICTOIRE広島の関係者の皆様,本当にありがとうございました。

(文・インタビュー 矢上/写真 向畑)