取材記事

自分で考え常に成長するジュニアラガール~笑顔で迎える中学生最後の全国大会へ~

 ラグビー日本代表の活躍と言えば,2015年ラグビーワールドカップ第8回大会で,格上の強豪南アフリカに,日本が歴史的な勝利をおさめたこと,2019年に日本で開催された第9回大会で初のベスト8入りを果たしたことが,日本のラグビー人気を加速させたことは言うまでもない。


 では,広島県ラグビーの旬な話題と言えば,2022年1月に開幕する「JAPAN(ジャパン) RUGBY(ラグビー) LEAGUE(リーグ) ONE(ワン)」(全国で24チームが所属)のDIVISION2に「マツダスカイアクティブズ広島」と,DIVISION3に「中国電力レッドレグリオンズ」の2チームが所属することが決まったことだろう。

  (ドルフィンポーズをする3人のラガール)

 また,尾道高校ラグビー部を思い浮かべる方も多いのではないだろうか。全国大会常連で,常に上位入賞を果たし,卒業生の中には日本のトップチームに所属するなど,その活躍は広島県内のみならず,全国的にも有名だ。


 このように,広島県はラグビーが人気スポーツになるポテンシャルを秘めているといっても過言ではない。その中でもさらに期待できるのが「女子ラグビー」なのだ。


 ラグビーは15人制と7人制があり(中学生カテゴリーは12人制と7人制),ともに女子日本代表が活躍している。特に7人制ラグビー女子日本代表は「サクラセブンス」という愛称で親しまれ,2016年のリオデジャネイロ五輪で正式種目となって以降,2大会連続で出場を果たしている。


 広島県では2020年1月,ワールドカップの興奮冷めやらぬ中,県内をはじめ中四国の女子中学生を対象としたラグビークラブ「広島ドルフィンズ」が創設された。現在13名の女子中学生のラガールが所属しており,全国大会出場を目指して日々練習に励んでいる。

※ラガール…ラグビーとガールを組み合わせた造語で,女性ラグビー選手やラグビー好きな女性のことを表す。


 今回は,中学3年生の3人のラガール(まほちゃん,ななちゃん,さきちゃん)にインタビューし,大会への意気込みやこれからの目標を伺った。

    (左からさきちゃん・ななちゃん・まほちゃん)

―ラグビーを始めたきっかけを教えてください。―

 まほちゃん:小学2年生の時に「遊びに行くよ~」くらいの感覚で,小学生のラグビースクールへ両親と一緒に行ったときに初めてラグビーをしました。スクールへ行くまではラグビーについて全然知らなかったけど,その時,楽しかったから今でも続けています。元々,お父さんがラグビーとアメフトをしていたんです。


 ななちゃん:お父さんがラグビーをやっていたこともあって,前からラグビーに興味があったんです。小学校4年生くらいの時に,本格的にやってみたいって思ったのでラグビースクールに行ってみたら,まほちゃんがいて,楽しかったから続けてます。


 さきちゃん:私のお父さんも元々ラグビーをしていて,中学1年生の時に広島ドルフィンズの新聞記事?みたいなのを見つけて「行ってみない?」って言われてこのチームに来たんです。実際に体験したら楽しかったから続けてます。

    (インタビュー中楽しく話す3人のラガール)

―皆さん“お父さん”がきっかけでラグビーを始めたということなのですが,ラグビー以外の競技もやっていますか?―

 まほちゃん:今,学校でバレーボール部に入っています。ドルフィンズの練習は土日しかないから,平日もスポーツしたいって思ってて。バレーボールもやってみたかったから入部しました!


 ななちゃん:私は卓球部です。


 さきちゃん:私は陸上部に入っています。


―今,所属している部活動の競技がラグビーに生かされたことはありますか?―

 ななちゃん:私は卓球だからあんまりない…(笑) 


 さきちゃん:陸上部なので持久力はついたと思うけど専門種目ハードルなんですよね(笑)だからあんまり関係ないかも(笑)


―逆に,ラグビーの練習をしていたから生かせたことは?―

 まほちゃん:部活動で少ししんどいなって思うことがあっても,ラグビーの練習をしているから全然乗り越えられます。キツイなーっていうトレーニングがあっても,ラグビーの練習で鍛えているから,他のみんなほど疲れないです!


 全員:ラグビーの練習の方がしんどい…(笑)

       (写真提供:広島ドルフィンズ)

―練習が辛いと本音が漏れちゃってますが…(笑)きっとそれより楽しいことの方が多いからラグビーを続けていると思います。ラグビーのどんなところが楽しいですか?―

 さきちゃん:よくボールが回ってくる「ウイング」っていうポジションなので,自分がトライすることも多いんですよ。やっぱりトライできると楽しいです!


※ウイング…トライする能力と足の速さが求められるポジション,瞬間的な速さも必要ながら,その速さを持続することも重要で,豊富なスタミナも要求されるポジション。


 

 ななちゃん:ラグビーはチームプレーだから,みんなで練習して作り上げてきたものが試合で上手くできたら嬉しいし,それが結果につながるときが楽しいって思います!


 まほちゃん:小学校の時から色んなポジションを体験してきて,どのポジションにもそれぞれ役割があるから,どのポジションでも楽しいと思うし,みんなで協力してプレーするから楽しいです!

       (写真提供:広島ドルフィンズ)

―今までで一番印象に残っている試合は?―

 まほちゃん:私とななちゃんは,小学校の時に中国地区で3位になって関西大会に出場してことがあって,3位になった時の試合が一番印象に残っています。


―その時,どんなプレーが良かったですか?―

 ななちゃん:私は「ハーフ」っていうポジションで,予選の時,何回か自分でトライできたのが良かったし,一番覚えてます!


※ハーフ…別名スイーパーとも呼ばれる。最後尾からチームの最後の砦としてラインをコントロールしたり,スペースを消したりして敵の攻撃を阻止する。またディフェンスだけでなく,オフェンスの時には常に攻撃の中心としての役割が求められるポジション。


―全国大会に繋がる試合がこれからあるそうですが,目標を教えてください。―

 全員:3位以内!!


 ななちゃん:予選になる関西大会で3位以内に入って,全国大会に行くのが目標です!

    (七夕に向けた短冊(7/4取材))

―今,中学3年生で高校進学も迫ってますが,これからどんなことを頑張りたいですか?―

 ななちゃん:高校に進学したら学業に専念しようと思ってるんですけど,これからもドルフィンズの練習の手伝いに来て,ラグビーには関わっていきたいと思ってます。


 まほちゃん:今までは広島県内に女子ラグビー部のある高校がなかったけど,崇徳高校に女子ラグビー部ができたから,まずはそこでラグビーを続けられるように頑張りたいです。大人になってもスポーツに関わっていたいと思ってます!


 さきちゃん:まだ進路とか迷っているんですけど,高校生になったら将来の夢のために,今よりたくさんのことができるようになると思うから,将来の夢のために頑張れたらいいなって思います。


―最後に大会に向けて意気込みをお願いします。―

 まほちゃん:コロナの影響で大会が中止になって試合ができないこともあったけど,これまでたくさん練習してきたことを,全部発揮できる大会にしたいです!


 ななちゃん:ドルフィンズは「試合も練習も楽しむことを忘れず,最後まで全力でやる」っていうスローガンがあるので,練習の成果を発揮しつつ,楽しむことや一生懸命することを忘れずにプレーしたいです!


 さきちゃん:みんなでボールを繋いで,一人一人が活躍できる試合にしたいです!


 中学3年生ながらしっかり受け応えをしてくれた3人のラガール。インタビュー中は笑顔で談笑していても,いざ練習が始まって,見せる真剣な表情や,チームの中心でプレーについて話し合いをする姿を見ると,技術の向上だけでなく,人間性の成長もすることのできる場所であると感じた。彼女たちが大人になった時,ラグビーで培った「コアバリュー」の精神で,社会で活躍することを願っている。


※コアバリュー…ラグビーを通じて人格修養する基本精神として「品位,情熱,結束,規律,尊重」の5つの意味を表す。

【広島ドルフィンズ】

 2020年1月に創部した女子中学生を対象としたラグビークラブ。広島県内だけでなく,中四国地方の女子中学生ラグビー選手の育成・普及を目指し活動している。7月に出場した7人制関西大会では全体5位。惜しくも全国大会出場は逃すも,10月に開催される12人制関西大会での上位進出を目指す。


本取材にご協力いただきました広島ドルフィンズの関係者の皆様,本当にありがとうございました。

(文・インタビュー 矢上/写真 チーム提供・河本)