コラム

地域貢献とバスケットボールで福山市を盛り上げたい

FUKUYAMA BATS 河相智志

プロになったのは、29歳。プロ歴は10年目

 広島県福山市をホームタウンとする「FUKUYAMA BATS(福山バッツ)」というプロバスケットボールチームの代表兼選手をしています、河相智志です。

僕がバスケットボールを始めたのは小学校6年生の時です。両親と兄がバスケットボールをしていたので、それに影響されて始めました。

中学生になってからはバスケットボール部がなく、陸上部で走り高跳びなどをしていましたが、バスケットボールは趣味でずっとやっていました。

僕がプロになったのは、29歳の時です。正直、かなり遅いプロ生活のスタートでした。最初の所属は5人制のバスケットボールリーグ・JBL2の兵庫ストークス(現在の西宮ストークス)というチームが、立ち上がった1年目の時でした。

こうしてプロバスケットボール選手としてのキャリアをスタートし、今39歳なのでプロ歴としては10年くらいになります。現在は、3人制プロバスケットボールリーグ「3×3.EXE PREMIER(スリー・エックス・スリー・ドット・エグゼ・プレミア)」というリーグでプレーしています。

3人制バスケットボールのプロリーグに参入した理由

一言でいうと「地元・福山市を盛り上げたい!」。そしてもう一つ。福山にプロのスポーツチームがないことです。

僕は福山市で生まれて、育ちました。福山という地が大好きです。お世話になってきた福山を盛り上げたい、恩返しをしたいという気持ちは、プロキャリアをスタートさせた時からずっと思っていたことです。

プロスポーツチームが近くにあれば子どもたちが夢を見やすいし、選手達と関わりやすくなります。スポーツを身近に感じられて、結果やチームの成長過程に一喜一憂できるようになります。スポーツが家族や友人、会社の仲間との会話のきっかけになることもあると思います。

なぜ3人制を選んだかという理由はたくさんあります。その中でも、まずは「多くの人に知ってもらう、見てもらうというところが大事」という考えがありました。

バスケットボールは体育館でやるというイメージが強いと思います。ですから、試合を見るためには体育館に行かいといけません。それだと、バスケットボールに興味のない人の目にはなかなか触れにくい。でも、3×3は5人制のコートの半分の場所があればできる。ショッピングモールや公園など、多くの方の目につきやすい様々な場所での試合の開催が可能です。これはスポーツ観戦では画期的なことです。

どうやってバスケットボールの楽しさを知ってもらうかが、最大の課題

3×3の試合を実際に観ていただくことで、バスケットボールの面白さを知ってもらいたいという考えもありました。

3×3の最大の魅力は、コートと観客がとても近いところです。観客席は、コートを囲うように1列ほど椅子が並べられているだけ。基本は立ち見。試合は1つのゴールに2つのチームが攻めますので、攻守が目まぐるしく変わりますし、激しい接触も起こります。選手が観客席に突っ込むこともあります。プロ選手たちがバチバチにプレーしているこのような姿を間近で見ることができるんです。

福山市の様々な場所で、例えば普段みんなが歩いて買い物をしているところにコートが出てきて、いきなりプロ選手がバスケットボールをしていたら「なんだろう?」と興味を示していただく率も上がるのではないでしょうか。先程も言いましたが、体育館でやっているとなかなか目にしてもらいにくい。多くの方の目につく場所で3×3を行って、観て、知ってもらって、「バスケットボールはこんなに楽しいんだよ!」というのを知ってもらえればと思っています。

勝負の2年目。ここからが本当のスタート

今年でプロリーグ参入2年目なのですが、1年目は新型コロナウィルスの影響で試合が中止になってしまったので、実質今年が1年目というところです。新型コロナウィルスにより起こったこの状況は、誰も悪くないし、どうしようもない。今、自分たちができることをやっていこう。そういった気持ちで活動を続けています。

メインに掲げている目標は、1試合でも多く勝つということと、地域貢献です。

地域貢献とバスケットボールで福山市を盛り上げていきたいという思いが強くあるので、プロチームとして全国で試合をしながら、地域貢献を目指してバスケットボールの指導・教室を多く開催していきたいです。

福山バッツでは、「バスケットボールの指導・教室の年間150回開催」を目標としています。コロナ禍でいろいろなイベント、人が集まることが難しくなった中、2020年は115回実施し、延べ500人ぐらいの方に参加していただきました。

コロナ禍でバスケットボールをプレーする場がなくなってしまった子どもや大人の力になりたいと思っていたので、福山市だけではなく備後地方、つまり福山市を中心に尾道市や府中市、三原市でもバスケットボールの指導や教室を開催しましたし、イベントにも参加しました。幼児から大人まで、「バスケは楽しい」と思ってもらいたい。

イベントや試合や終わった時に、「またバスケがしたい」いう気持ちを持っていただけるように、活動してきました。少しでも地域貢献をしたいという1年目でした。

2年目も引き続き、バスケットボールに触れてもらい、楽しさを知ってもらえるような活動をして、一人でも多くの方を笑顔にしていきたいと思っています。

もう一つ。スポーツをしている方でプロになりたいと思っている人が、みんなプロになれるわけではありません。しかし、プロ選手としてみんなの前でプレーしたい選手も多いと思います。3×3の選手の中には平日に仕事をして土日に試合に出場するという選手もいます。それはとても夢があるというか、現実的というか、多くの人が「プロ」にチャレンジしやすいのではないかと感じています。

また、何かで地域貢献したいという方も多いですが、いざ何かしようと思っても難しい場合もあると思います。そこで、プロチームの選手として活動していくことができれば、チームを通して地域貢献ができるようになります。もちろん、選手になるために必要な要素はたくさんあります。しかし、3×3は他のプロリーグに比べてチャレンジしやすい環境にあると思っています。地域貢献にとても魅力があるツールだと感じています。

いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。

オリンピックには5人制、3人制ともバスケットボールは日本代表が出場します。普段バスケットボールを見ない人でも目に付く機会が多くなると思います。そして、オリンピック後はスポーツへの熱量が高くなっていると思うので、そこで「福山市にもバスケットボールのプロチームがあるんだ!」というのを知ってもらって、応援してもらえる存在になるというところが大事だと思っています。僕たちがバスケットボールの指導や教室、イベントを可能な限りやっていって、バスケットボールに触れてもらう機会を増やしていけたらと思っています。福山市を問わず、備後地方全体で僕たちのチーム、活動、選手を周知してもらえるように頑張っていきたいです。

みなさん、応援よろしくお願いします!!


河相智志

Satoshi Kawai

FUKUYAMA BATS 代表兼選手

広島県福山市出身。小学6年時に家族の影響を受けバスケットボールを始める。広島県立戸手高等学校を卒業後、2003年に日本リーグのさいたまブロンコスに加入。現在はプロバスケットボールチーム「FUKUYAMA BATS」の代表を務める傍ら、コート内で選手としても活躍。その一方で福山バスケットボール協会 競技強化・向上委員、福山アンバサダーとして地元・福山市を盛り上げている。