取材記事

「ホッケー王国」復活へ。若きアスリートの挑戦

 U-15ホッケー日本代表

2020年12月6日。コカ・コーラレッドスパークスが、第81回全日本女子ホッケー選手権大会で8年ぶりの優勝を果たし、シーズン三冠※を達成した。

※シーズン三冠…ホッケー日本リーグ・全日本社会人ホッケー選手権大会・全日本女子ホッケー選手権大会の全てで優勝すること。例年は国民体育大会ホッケー競技を含む四冠だが、今季は新型コロナウイルス感染症の影響で中止となっている。

さらに、広島ホッケー界で嬉しいニュースとなっていたのが、ホッケーU-15日本代表に2名の選手が選出されたことだ。同カテゴリーで、代表メンバーに選出されるのは、男女共に県内初。世界の舞台での活躍も期待される。

そんな2人は、日の丸を背負い海外遠征に参加する予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響で中止となった為、12月5日、6日に開催される東西対抗戦※に出場した。

※東西対抗戦…U-15日本代表メンバーを東日本と西日本でチーム分けした交流試合。

これからの活躍が楽しみな2人に今の心境を伺った。

(終始笑顔でインタビューを受ける梅本くん)

梅本くん:近所の友達に誘ってもらったのがきっかけで始めました。4年生の時に、近くの野球チームの体験に行こうとしてたんですけど、その前に友達からホッケーに誘われて、ホッケーが楽しかったんで始めました。

宮本さん:おじいちゃんが元々ホッケーをやっていて、おじいちゃんに誘われて始めました。マスターズで今もプレーしているし、ここ(ブエナビスタ)で指導もしてますよ!

――ホッケーで一番楽しいことは?――

梅本くん:やっぱり試合とか練習試合とか実践形式が楽しいですね!

宮本さん:だよね!実践の方か楽しいです!

――ホッケーの魅力は?――

宮本さん:やっぱりスピード感ですね!他の競技とは違うスピード感は魅力だと思います!テレビ放送してくれたらいいのに!さくらジャパンに東京五輪で金メダル取ってほしい!

――試合はたくさんある?――

梅本くん:練習試合は1週間に1回はやってます。

宮本さん:山陽高校※とよく練習試合させてもらっています。

※山陽高等学校ホッケー部…1923年創部。これまで数々の大会での優勝や世代別日本代表を選出するなど、「ホッケー王国広島」の礎を築いた。2020年度からは女子部も立ち上げた。

(緊張しながらもしっかりと質問に答える宮本さん)

――普段心掛けていることやモチベーションの保ち方は?――

梅本くん:常に笑顔でプレーすることですね!

宮本さん:練習試合とか同世代の選手とはできないことが多いけど、高校生との実戦形式だと、やっぱりスピード感も違うし、逆にそれが楽しくてモチベーションになります。

――試合の中で頑張りたいプレーは?――

梅本くん:僕はパスとシュートですね。ドリブルが得意なので、そこも頑張りたいです!

宮本さん:私はパスかな!

――遠征や合宿が多いと思いますが、勉強との両立は大変?――

宮本さん:あー、テスト週間は大変かも(笑)全然勉強できてない!!って焦るとき多いです(笑)宿題はなるべく学校の空き時間でするようにしてます。

梅本くん:僕は特に不安はないかな!(笑)点数が高いわけじゃないけど、それなりに頑張っているので大丈夫です!(笑)

――1日何でもできる休みがあったら何がしたい?――

梅本くん:僕はずっとホッケーしたいですね。あとはゲームかな?(笑)家族とゲームしたいです。

宮本さん:普段は練習でなかなか遊びに行けないので、友達と映画観に行ったりして遊びたいですね!

――学校で何か流行っていることは?――

梅本くん:今バレーボールが流行ってます!休憩時間によく友達とやってますね。やっぱり友達と遊ぶのが楽しいです!

――コカ・コーラレッドスパークスの憧れの選手は?――

梅本くん:河村選手と錦織選手です!

宮本さん:錦織選手に憧れてます!何度か交流もしたことあります!

――今回U-15日本代表に選ばれた感想は?――

梅本くん:日の丸をつけるのは初めてなので、やっぱり嬉しいです。

(U-15日本代表のユニフォームを着用する2名)

宮本さん:嬉しいですね。選考の結果がネットで発表されたんですけど、いつ発表されるか決まっていなかったので、一緒に受けた他の選手に教えてもらってから結果を見たんですよ(笑)自分の名前があって嬉しかったですし、おじいちゃんが一番喜んでくれました!みんな同じくらいの実力だったので、選ばれたかどうか最後までドキドキでした。

――U-15日本代表東西対抗戦でどんなプレーがしたい?(取材は12/1時点)――

宮本さん:誰よりも目立つプレーをしたいです!!

梅本くん:良いプレーをいっぱいしたいですね!

――選考会で県外の選手と交流しましたが印象は?――

梅本くん:やっぱり上手です!うまいな~って思いました。

宮本さん:みんな同じくらいの実力だなって感じました。やっぱり同じくらいの実力の選手と練習できるのは楽しいですね!パスが回ってよくボールが動くし、走ってパスを取ってくれます!

――進学する学校を決める時に悩んだ?――

宮本さん:元々、県外の高校へ進学するつもりだったんですけど、どこの県にするかは悩みましたね。決め手は先生の指導方法です。

梅本くん:僕は施設面が整っているのと、その学校の監督に指導してほしいと思ったから選びました。あとは大学進学も考えているので、そのあたりも含めて決めましたね。

――高校のホッケー部で頑張りたいことは?――

宮本さん:まずは試合に出るメンバーに選ばれることです!

梅本くん:僕が進学する学校は、最近全国大会でもなかなか優勝とかできていないので、僕が入部して、全国の舞台で上位入賞できるように、チームメイトと練習して、3年生の時は全国優勝したいですね!

――最後に今後の目標をお願いします――

宮本さん:私は「さくらジャパン」のメンバーになってオリンピックに出場することです!高校を卒業したら。コカ・コーラレッドスパークスホッケー部に入部して、広島出身選手として活躍したいです!

梅本くん:まずはU-18日本代表のメンバーに選ばれることです。60歳くらいになってもホッケーできるように、生涯ホッケーを続けていきます!

(Hiroshima Buena Vista HCの萩塚代表)

2人が所属するHiroshima Buena Vista HCは子供から大人まで幅広い年代の方が所属するホッケーのクラブチーム。

「今の全てが彼らの目標達成に向けた過程なんです」

そう語るのは、Hiroshima Buena Vista HC代表の萩塚さん。彼らの目標とは、目先の試合での勝利ではなく、将来トップ選手として活躍することや、生涯ホッケーを楽しむことだそう。

「だから試合に負けたから、ミスしたからといって叱らないでくださいね」

と保護者に伝えている。もちろん、厳しく指導する場面もあるので、そういった時には、保護者へ連絡し、子供たちへのフォローを忘れない。

こういった指導方針だからこそ、子供たちがのびのびプレーし、ホッケーを楽しむことができるのだろう。練習中、子供たちが笑顔で楽しみながらプレーしているのが印象的だった。

もちろん、高みを目指すには、厳しい環境に身を置くことが必要なこともあるが、彼らの言葉からは、心の底からホッケーを楽しんでいることが伝わり、だからこそ、日々練習に励むことができるのだろう。

一昔前、広島は「ホッケー王国」と言われ、全国でも屈指の実力だった。現在でもコカ・コーラレッドスパークスの活躍が光るが、学生世代はなかなか活躍できていないのが現状だ。

「ホッケー王国広島」の復活へ。広島出身の若きアスリートが地元広島で活躍する姿を、日の丸を背負って世界で活躍する姿を、近い将来見られることを期待しよう。

本取材にご協力いただきました

Hiroshima Buena Vista HCの関係者の皆様、本当にありがとうございました。

(文・インタビュー 矢上/写真 向畑)