取材記事

ついに開幕! 日本初の女子プロサッカーリーグで初代チャンピオンを狙う

サンフレッチェ広島レジーナ 上野真実・齋原みず稀

プロとして地元に帰ってこられた喜びをプレーに込めて

【齋原みず稀選手】

―広島市出身の齋原みず稀選手は、沼田高校在学中にアンジュヴィオレ広島でプレーされていました。広島大学進学後もサッカーを続け、愛媛FCレディースを経て、レジーナの選手として広島に帰って来られました。オファーがあったときの心境は?―

アンジュヴィオレ広島には、これまで一緒にプレーしてきた仲間がいるので、試合を観たりして刺激をもらっていました。広島を離れていたのは約1年間と短いのですが、その1年間があったからこそ、広島でサッカーをするという意義に気付けた気がします。広島がどれだけスポーツが盛んであるか、県外に出て分かったことは大きいです。レジーナからまさかオファーをいただけるとは思っていなかったので、知らせがあったときには驚きましたし、うれしかったです。

―1年ぶりの広島での暮らしはどうですか?―

以前とは生活がガラリと変わり、時間に余裕ができました。でも、その時間をどう使うかは自分の責任なので、難しさも感じています。

―レジーナの練習はどうですか?―

これまで名門や強豪チームに在籍していたわけではないので、本格的なサッカーの指導を受けたという経験が少ないんです。なので、自分の想像力や周りとのコミュニケーションを大切にプレーしてきました。練習を通して、日本らしい組織的なサッカーを勉強していきたいと思います。

―齋原選手の得意なプレーについて教えてください―

練習の中で各ポジションの人数を見ながら、サイドや真ん中など、いろいろなポジションをする機会が増えてきました。どんな角度からでもシュートを決めきることが強みだと思っているので、さまざまな位置からシュートを狙っていきたいと思っています。また、ドリブルとかパスとか基本的な技術も高めていきたいです。

―アンジュヴィオレ広島での活躍を続けながら広島大学に進学されていますが、どのように文武両道に取り組んでこられましたか?―

文武両道は小さい頃から常に意識してきたことです。スポーツか勉強どちらかをするのではなく、サッカーをしていたから勉強がはかどったのだと思っています。勉強だけだと、きっとできていません。両方が気分転換になってバランスを保つことができました。

―7月14日、広島県とサンフレッチェ広島が「女性活躍推進に関する協定」を締結しました。今後、女性活躍推進の実現に向けた取り組みを進めていくとのことですが、これも今世界的に取り組まれているSDGsの一環だと思います。それについて感じておられることはありますか?―

一番身近だと感じるのは、ジャンダー平等についてです。女子サッカーはいわゆるボーイッシュな人も多く、私たちの中ではいろんな人がいるという多様性の理解ができています。でも、世間一般では理解してもらえないことがまだまだ多いですね。

―レジーナには愛媛FCレディースのチームメイト、上野真実選手も加入されました。今回インタビューを実施しましたが、齋原選手から見てどんな選手ですか?―

口数は多くないですが、仲良くなればお茶目でイタズラっ子なところがあります(笑)。プレーは自分とは全く違うスタイルなので、勉強になることが多いです。組織的なプレーに力を入れている愛媛FCレディースに長く在籍されていたから、サッカーの基本的な技術がすごく高くて、サッカーのことをよく知っている選手だと思います。

―広島県の皆さんにどんな風にレジーナの魅力を伝えたいですか?―

さまざまな年齢の選手が集まってのゼロからのスタートですが、分け隔てなくコミュニケーションをとっていて、年齢関係なく言うことは言うし、やることはやる。メリハリがあるチームだと思います。

また、女子は男子に比べるとパワーやスピードは劣ってしまいます。同じ大きさのフィールドやゴールでプレーすると考えれば、不利に思うかもしれません。しかし、男子のように身体能力を活かしたプレーができないからこそ、コンビネーションを駆使して、チームとしてゴールを狙いに行きます。戦術的にゴール前を崩して得点する面白さを見せていきたいと思います。

―最後に、応援してくださる方へのメッセージと意気込みをお願いします―

プレシーズンでは試合に絡む時間が少なくて悔しい思いをしました。まずは試合に出場すること。そして、勝利に絡む活躍をしてリーグ初年度の優勝に貢献したいです。応援よろしくお願いします!

【サンフレッチェ広島レジーナ】

「レジーナ」は、イタリア語で「女王」という意味。「サンフレッチェ」の語源である三本の矢に込められた想いを大切にし、「女王」に輝くチームを目指したいという意志を込めて名付けられた。初代監督は、サンフレッチェ広島トップチームヘッドコーチやアカデミーコーチの経験を持つ中村伸。そしてキャプテンには、2011年に、FIFA女子W杯で女子日本代表「なでしこジャパン」のメンバーとして世界一をつかみ取った近賀ゆかり選手が就任した。日本女子サッカー界の宝が牽引する、新しいチームの躍進に期待が高まる。


上野真実

Mami Ueno

1996年9月27日生、熊本県出身。ポジション:フォワード(FW)。166cm、58kg。環太平洋大学短期大学部を卒業後、2015年に愛媛FCレディースに加入。2016 FIFA U-20女子ワールドカップに出場し、大会得点王に輝く。その後、2017年~2020年にも日本女子代表に選出された。

齋原みず稀

Mizuki Saihara

1997年12月2日生、広島県出身。ポジション:ミッドフィルダー(MF)。171cm、62kg。2013年~2015年アンジュヴィオレ広島に所属。沼田高校卒業後に広島大学へ進学し、女子サッカー部で活躍。2019年はバニーズ京都FCで特別指定選手として登録され、2020年に愛媛FCレディースへ加入した。


本取材にご協力いただきました、サンフレッチェ広島レジーナの関係者の皆様、本当にありがとうございました。

(文・インタビュー 前岡/写真 チーム提供・矢上)