コラム

県民「イチ運動・スポーツ」で健康寿命を伸ばす!

広島大学大学院医系科学研究科(医) 客員准教授 日本健康運動指導士指導士会広島県支部副支部長 松本直子

スポーツアクティベーションひろしまの目的である「地域のスポーツ資源を活用しながら、それぞれの地域における目指す姿を実現するために」メンバーとして加わりました、松本直子です。広島県民のみなさま、どうぞよろしくお願い致します。

広島県民のスポーツ実施状況について

「令和元年度広島県民のスポーツ実施状況等に関する調査」によると、「週1回以上運動・スポーツをする成人の割合」41.8%。性別では男性の実施率が高く、年代別では20代40.2%、30代31.6%、50代34.6%、となり高齢層になるにつれて高くなる傾向です。

「この1年間に運動・スポーツはしなかった」かつ「現在運動・スポーツはしておらず今後もするつもりがない」と答えた「無関心層」が19.9%でした。

 今後、運動・スポーツ始めようと思っていると答えた人は「ウォーキング」「トレーニング」「エアロビクス・ヨガ」「体操」「ランニング(ジョギング)・マラソン・駅伝」を始めたいと考えている人が多いという結果も出ました。

また、運動・スポーツを行っている人の理由は、「健康のため」65.6%、「体力増進・維持のため」45.3%、「運動不足を感じているから」41.7%、「楽しみ、気晴らし」35.2%。「健康運動スポーツとして、取り入れる人が多く、楽しくリフレッシュしながらおこないたい」という事がわかりました。

この1年直接現地にスポーツ観戦に行った人は42.5%(プロ野球が最も多く34.4%/・全国平均13.1%を大きく上回っています。) さすが、カープ王国です。

スポーツボランティアへの参加は10.4%で「自身やお子様が所属するスポーツ団体やクラブでの補助的な活動」31.7%、「大会・イベントの運営や世話」23.1%、「スポーツクラブ・団体の運営や世話」19.2%「運動・スポーツの指導18.3%です。

スポーツが個人や社会にもたらす効果として「健康・体力の保持増進」76.0%、「人と人との交流」51.4%、精神的な充実感「45.5%、「青少年の健全な発育」27.7%、「地域の一体感や活力」26.2%、「長寿社会の実現」15.1%、「経済の活性化」13.6%、「国際総合理解の促進」8.8%。

最後に地域資源であるスポーツの活用が地域活性化に役立つかについては、「そう思う」51.0%でした

この結果は、私がアクティベーション広島のメンバーとして、地域の皆さんとどのように活動していく事が良いかを考えることに役立てたいと思います。

運動・スポーツとの出会い

運動・スポーツの世界に入ったきっかけは「元気になりたい!」でした。子どもの頃は、病気がちで学校を休むことが多く、元気になるにはどうしたらいいのだろう?と寝込みながら考えたものでした。ちょうどその頃に大学を出たばかりの情熱ある先生が私の担任になり、苦手な水泳をご指導下さいました。やっと泳げることを克服し時には自分に自信が湧いてきた感じがしましたね。

次にソフトボールとテニスに挑戦し、気づけば運動大好き、将来は何になりたいかと聞かれれば「テニス選手になりたい」(笑)と答えるぐらいに元気になったの事を覚えています。

その頃の私は、トレーニング内容等は全くわからず、ただ、言われた通りにおこなっていましたが、振り返れば、ラケットを振る時間より「体力」をつけるための基礎トレーニング=有酸素運動を行なっていましたね。そのような経験から、みんなが元気になるような運動を教えたいに行きつき今日に至ったわけです。

「健康運動・スポーツ」を調べると、「エアロビクス(有酸素運動)」という、フィットネスに出会いました。アメリカの運動生理学者「ケネス・H・クーパー 博士」が1967年「有酸素運動」のプログラムとしてエアロビクスを提唱し、当初はNASA宇宙飛行士の心肺機能トレーニングプログラムの一環として開発した科学的な理論(全身持久力のトレーニング・プログラム)から運動プログラムを組み立てたもので、当時、アメリカでは死因の第1位の心臓病「黄色い心臓(Yellow Heart)」といわれていた時代で、健康増進運動へのニーズがとても高くなったそうです。クーパー博士のエアロビクス理論は、科学的なデータで裏付けられ、しかも、わかりやすい内容で「健康体力づくりプログラム」として評価されていました。

その後、「ジャッキー・ソーレンソン」女史により、ダンスの要素で楽しさを加えた「エアロビクス(Aerobic Dancing)」としてプログラムされるに至り、そのエビデンスに基づいた健康づくりのための運動を教えることを承認された所が、日本では唯一、東京と広島の2か所にあり、本格的に健康運動・スポーツの世界へ進みました。

健康運動指導士として運動・スポーツに関わる

わが国には、健康運動・スポーツに関する資格として「健康運動指導士」があります。生涯を通じた国民の健康づくりに寄与する目的で創設され「個々の心身の状態に応じた、安全で効果的な運動を実施するための運動プログラムの作成及び指導を行う者」です。生活習慣病を予防し、健康水準を保持・増進する観点で、生活習慣病対策においては、一次予防に留まらず二次予防も含めた健康づくりのための運動を指導する専門家として活動をしています。健康寿命を伸ばし、県民ひとりひとりが豊かな人生の実現のために、安全安心な運動・スポーツで一人一人のパフォーマンスを上げ、地域や職場の活性化を現実のものとしていくことが役割だと考えています。