COLUMN / INTERVIEW コラム・取材記事
史上最年少で日本代表に!広島から世界に羽ばたくアーティスティックスイマー
史上最年少、わずか14歳でアーティスティックスイミング(以下AS)日本代表に選ばれた少女がいる。彼女の名前は比嘉もえ(中学2年生)選手。元プロ野球選手(広島東洋カープ)を父に持ち「ほんの軽い気持ち」でASを始めた比嘉選手は、6年間で目覚ましい成長を遂げた。
広島から、世界へ。代表合宿を目前に控えた比嘉選手に、ASとの出会いから代表入りを決めた選考会までの歩み、五輪に向けての意気込みをインタビューした。
友達に誘われて始めたASで才能が開花
―ASを始めたきっかけは?
比嘉:小学3年の時に友達に誘われてASを始めました。“ちょっとやってみようかな”という軽い気持ちでチャレンジしたのがきっかけです。だけど水泳が苦手で、最初は200mも泳げませんでした。冬場に約6kmの泳ぎ込みをするなど、練習を続けたことで、小学4年の時に全国JOCジュニアオリンピックカップに出場できました。最初は、小学校を卒業したら、ASを辞めるつもりだったのですが、徐々に自信もついてきて、続けていこうという気持ちになりました。
―競技をしていて、いちばん楽しいことは何ですか?
比嘉:試合がいちばん楽しいです。ソロ演技は、自分の力を全部出し切ることを目標にしています。8名1チームで演技をする団体競技は、仲間と声をかけあいながら取り組むことができるので、ソロとは違った楽しさがあります。
―広島ではどんな環境で練習をされているのですか?
比嘉:広島の練習環境は、他のエリアと比べても整っていると思います。夏の間は、東区のプール(ひろしんビッグウェーブ(総合屋内プール))を使えますし、冬になるとグリーンアリーナのプールで練習ができます。今の時期(冬)は、平日で3時間、土日だと5時間くらい練習をしています。夏になると練習時間はもっと増えます。陸上でのトレーニングを含め、毎日練習しています。辛いことがあるとすれば、冬のプールの冷たさ。グリーンアリーナのプールの水温は低いので、冬場はちょっと辛いですね(笑)
―比嘉選手が入っている「アーティスティックスイミング広島」では何人くらいの選手がいるのですか?
比嘉:約15名です。小学2年から高校生までが一緒に練習しています。
―もっとたくさんの人と一緒にプレーしたい気持ちもあるのでは?
比嘉:なかなか気軽に始められる競技ではないと思うので、簡単にはチームの人数も増えていかないみたいです。まずは「チャレンジシンクロ」という、誰でも参加できる体験会に参加してもらえたらうれしいです。私がここまで続けてこられているのは、チームメートや指導者のみなさんのおかげです。そういった方々と出会えたからこそ、今の自分があると思っています。
泳げなかった1ヶ月半。コロナ禍はオンラインでのトレーニングも
―平日は中学校の授業が終わってからの練習になると思いますが、学校との両立は大変ではないですか?
比嘉:学校が終わってすぐに練習に行っています。いつもは17時から20時、遅ければ21時までの練習時間になります。それから帰宅してご飯を食べて・・寝るのは22時半や23時頃になります。
―自宅でもトレーニングはしていますか?
比嘉:最近は、懸垂や甲出し(脚の甲を美しいアーチ状に見せるためのトレーニング。バレエダンサーが取り入れることが多い)、ストレッチなどをやっています。競技で使う音楽の編集も自分でするので、部屋にはトレーニング器具やパソコンが並んでいます。
―編集も自分自身でするんですね!
比嘉:ASは技の完成度に加えて芸術性も競う競技なので、表現力を磨くために、自分の演技をビデオに撮ってコーチにアドバイスをいただいたり、上手い先輩の演技を見ながら研究しています。競技で使いたい曲に出会った時には、その曲がどんな場面で使われる曲なのかを研究したり、雰囲気に合わせて表情をつくったりするようにしています。
―コロナ禍では、練習をするのも大変だったのではないですか?
比嘉:プールを使うことができなかったので、1ヶ月半くらいまったく泳げない時期もありました。今年になってからは、コーチが、練習できるように施設を用意してくださったので、プールで練習することができるようになりました。泳げない期間は、オンライン上で、トレーナーさんの指導を受けながら、チームメイトと一緒に筋トレなどをしていました。
―毎日ASの練習をしていると、日常生活でつい出てしまう癖などがあったりするのでは?
比嘉:うーん・・集合写真を撮る時に、無意識に背中を張ってポーズを撮ってしまうことがありますね(笑)