COLUMN / INTERVIEW コラム・取材記事
広島から、女子パルクール界に期待の新星!努力を続けた末の日本選手権出場
自身と向き合い、仲間と称え合うパルクール
―今年6月に開催された「第2回JGAパルクール・オンライン・コンペティション」で女子3位に入賞しました。
私にとって、初めての大会でした。頑張った結果が出せたので、すごく嬉しかったですね。3位以内に入ったら 新しいiPhone を買ってくれるってお父さんが言ってくれていたので、早速買ってもらいました。お父さんは、まさか入賞するなんて思っておらず、冗談で言ったみたいだけど…、約束は約束です(笑)。それに、私が持っていたiPhoneは古く、すぐ電池切れを起こしていたんです。
パルクールでは、自分の動作を動画にとって確認するのは、とても重要。新機種は広角で綺麗に動画が撮れるので、すごく役立っています。
それに、勝てた要因は、お父さんとお母さんが協力してくれたおかげだと思っています。動画の撮影はお父さん。フリースタイルという競技を徹底的に研究して、土日のほとんどを使い、動画の撮影に一緒に挑んでくれたんです。
―その後も、大会出場が続きましたね。
10月に福岡県で開催されたパルクールの大会「PARKOUR PREMIERE CUP 2021 in KOKURAJO CASTLE」は、ネット上ではなくリアルの大会です。始まるまで、緊張で吐きそうでした。出場選手の中で、私の経歴が一番浅く「失敗するかも」という不安に襲われていました。実は、フルツイスト※を大会当日まで練習し、自分の中で温めていたんです。外で披露していなかった技なので、100%成功する確信も自信もありません。競技がスタートして、フルツイスト自体は成功。できた!という感覚で、その後考えていた技の流れを全て忘れそうでした(笑)。
結果4位で予選敗退しましたが、「スムーズな着地」という今後の課題が見つかったのは良かったと思います。
※フルツイスト…バク宙を仕掛けて、空中で横に1回ひねって着地する技
―出場メンバーには、同年代の選手も多くいらっしゃいました。
同年代の永井音寧ちゃんと、すぐに仲良くなりました。フルツイを回す時も寧々ちゃんが「行けるよ!」って声をかけてくれて。そして成功したときは、「よかったね」って、一緒に盛り上がりました。パルクールでは、自分のベストを尽くすのが基本の考えです。相手を倒す概念が、採点競技だけど23あまりないんです。パルクールの魅力の一つですよね。その空気感はアーバンスポーツ全般に言えることだと思います。
―息抜きや趣味はありますか?
気が向いたときには、クッキーや、アップルパイ、スイートポテトなど、スイーツを作っています。クリスマスケーキは毎年自作です。料理全般が好きなので、時間があればご飯作りもしています。
それに、ファッションにはこだわっていますね。洋服はまず、宙返りできそうな服を選びます(笑)。でも、とりあえず動けたらいいっていう概念は、パルクールとはマッチしません。色合わせやバランス、スタイリッシュに見せる服装は意識しています。「パルクールをする女性が憧れて、理想として追いかけられる存在になってほしい」と先生から言われています。まだまだ途上ですが、いつかそうなれると嬉しいですね。
日本選手権で念願のスピードランに挑戦
―「第2回パルクール日本選手権」への出場決定、おめでとうございます。
こんな大きい大会は私にとって初めてです。それに、これまで私が出た大会は、コロナ禍の影響でフリースタイル部門のみの開催でした。でも今回は、自由演技の得点を競う「フリースタイル部門」とスピードを競う「スピードラン部門」、両方に出場します。足の早さに自信があり、スピードランにずっと出たいと思っていたので嬉しかったですね。初めてのスピードランで実力が通用するのか不安はあります。スピードランでは、スタートから5メートルの高さのタワーを登らないといけません。現場に行ってみないとコース内容もわかりません。
それに、同じパルクールでも内容も動作も全く違う両部門。先生曰く「羽生結弦選手が、フィギュアスケートとスピードスケートを両方マスターするような難易度」です。しかし、世界選手権レベルの選手になるためには、両部門で高得点を出さなければいけません。私はまだ、世界選手権枠に出場できる年齢ではありませんし、今までで一番プレッシャーが強いですが、悔いのない勝負をしたいと思います。
―最後に皆さんにメッセージをお願いします。
まだパルクールを知らない人もたくさんいると思います。興味があればぜひトライしてもらいたいですね。12月19日(日)に開催される第2回パルクール日本選手権の様子は、テレビ東京スポーツYouTubeにてライブ配信される予定です。応援よろしくお願いします!
古田 雫
Shizuku Furuta
2007年生まれ。広島市在住。12歳でパルクールに出会い、わずか2年で大会出場レベルへと躍進。2021年、オンライン上で開催された「第2回JGAパルクール・オンライン・コンペティション」で3位に入賞。同年、世界大会で活躍する日本選手を輩出する「第2回パルクール日本選手権」にも出場が決定。イベントでのパフォーマンスやCM出演も果たす。
本取材にご協力いただきました、MISSION PARKOUR PARK HIROSHIMA関係者の皆様、誠にありがとうございました。(文・インタビュー 大須賀あい/写真 MISSION PARKOUR PARK HIROSHIMA提供)