ソフトテニス

日本一の強豪を牽引する2人の若きリーダー

NTT西日本ソフトテニス部 内本隆文・広岡宙

「日本リーグ」史上最多の11連覇を達成した実績を持ち、昨年12月の「Japan Company TOP8〔団体戦〕」でも優勝を果たした強豪、NTT西日本ソフトテニス部。

3月12日(土)、13日(日)に開催される「第2回平和カップひろしま国際ソフトテニス大会」(広島市)でも、目指すのはもちろん優勝だ。

そこで、今シーズンから新たにキャプテンに就任した内本(うちもと)(たか)(ふみ)選手と、副キャプテンの広岡(ひろおか)(そら)選手に、常勝チームを率いる覚悟や想いを尋ねた。

挫折を乗り越えながら日本トップへ成長

―昨年12月の「Japan Company TOP8〔団体戦〕」は、中止になった「日本リーグ」の代替試合ですので、実質は12連覇だと思います。王者としてのプレッシャーは感じていますか?
 内本「プレッシャーはあります。日本で一番強いチームと認めていただいていますし、午後を丸々練習にあてられるため、他の実業団に比べたら練習量も多く、恵まれている環境です。客観的にも、勝って当たり前だと思われていることが多いと感じています。ただ、そのプレッシャーを跳ね除けて優勝したいと思っています」

広岡「僕はプレッシャーに弱いのですが、いっそのこと、もう吹っ切って悔いが残らないようにやろうと思っています。以前、日本リーグ10連覇がかかった最終戦で、相手にあと1点取られたらチームが負けるという場面が8回もあったんですけど、『ミスしても仕方がない!思い切りやろう!』と気持ちを切り替えたら体が軽くなって、逆転勝利することができました。優勝がかかっていた試合でものすごいプレッシャーだったので、一旦諦めるとか開き直ることの大切さを感じました。この試合をもう1回やれと言われたら、ほんと無理ですけど(笑)」

(新キャプテンとなる内本選手)

―新シーズンからそれぞれキャプテン・副キャプテンに就任されました。プレーはもちろんですが、どんなところでチームを引っ張っていきたいですか?
 内本「一人ひとりの技術は高いので、プレーについて言うことは何もありません。団体戦はやっぱりチームワークや協調性が大事なので、自分と広岡選手の色でチームをまとめていきたいと思っています」

広岡「キャプテンの補助的な立場になるので、チームメートとの対話やコミュニケーションを増やしていきたいと思っています。昨シーズンまでは最年長の二人がキャプテンと副キャプテンをされていましたが、今度は若手の僕らで引っ張り、新体制のチームで結果を残していきたいと思っています」

―ソフトテニスを始めたきっかけを改めて聞かせてください。
 内本「両親が大学時代にソフトテニスサークルに入っていて、その影響で兄も僕もソフトテニスを始めました。幼稚園の頃からラケットを握って遊んでいたと思います。6歳からジュニアチームに所属して、本格的に取り組み始めました」

広岡「僕も両親がソフトテニスをしていました。特に、母は日本体育大学卒業後に実業団と大阪のクラブチームでプレーしていた、ばりばりのプレイヤーでした。僕は3歳ぐらいから自然とラケットで遊ぶようになり、5歳から本格的にソフトテニスを始めました」

―お二人とも幼少期から始められているんですね。ソフトテニスの面白さはどんなところですか? 現在まで続けてこられている理由は?
 内本「子どもの頃は、自分が上手くなっていくのが目に見えて分かるのが楽しかったです。ある程度実力がついてくると、上手くなったなぁという実感があまりできなくなりますが、試合中の駆け引きなど高いレベルでの楽しさがありますね」

(新副キャプテンの広岡選手)

広岡「僕は勝ったときの喜びが、ソフトテニスを続けられている理由です。あと、格上の選手と試合するときにどうやって勝つかを考える楽しさもあります。強くても油断すれば格下に負ける可能性があるのが、ソフトテニスの楽しさ。どんな相手でも油断できないというプレッシャーを楽しむ競技だと思います」

―お二人は学生時代からずっと活躍してこられていますが、挫折しそうになった経験はありますか? そのときには、どのように乗り越えてこられましたか?
 内本「ソフトテニスをするのがしんどくなったことはあります。そんなときはラケットを持つのをやめて、友達と遊んだり好きなことをするようにしています。そしてまたラケットを持つと、違う感覚が生まれて、良い方向に気持ちが向くんです。テニステニスで頭がいっぱいにならないようにすることが大事ですね」

広岡「僕は挫折した時もテニス、テニスという感じです。内本さんと真逆ですね(苦笑)。高校卒業してすぐにNTT西日本に入ったので、実力が追い付いていかなくて、何度も挫折しました。そんなときは先輩が慰めたり焼肉に行こうと誘ってくださったり、周りに支えられてなんとかやってこれました」

―ソフトテニスを続けてきたことで、どんなことが得られましたか?
 内本「勝利して目標を達成したら、また新たな試合が始まって目標ができる。ずっとこの繰り返しです。だから、ソフトテニスを続けてきたから得られた、というように振り返るのはまだ早いような気がしています。金メダルをとってめちゃくちゃ嬉しかった、というような経験もまだしていないんですよね。もしかすると引退するまでずっと、こんな感覚なのかもしれません」

広岡「僕もまだ目標を果たすまでの道半ばなので、得られたことというのはよく分かりません。2026年に日本(愛知県名古屋市)で開催されるアジア競技大会で金メダルをとるとことが目標で、そのために NTT西日本に入社したようなもの。これから大きな国際大会を経験して、強くなっていきたいと思っています」

中学からの付き合いで相性抜群の2人

(プライベートではゴルフを楽しむ内本選手)

―プライベートなお話をお聞かせください。業務とソフトテニスの両立で日々大変だと思いますが、どのようにリフレッシュをされていますか?
 内本「最近ゴルフを始めたので、チームの仲間や会社の同期、ソフトテニス部OBの方たちと楽しんでいます。自然の中なので開放感があって、いいリフレッシュになります」

広岡「僕はゴルフは打ちっ放しぐらいしかしていないですよね。しかもまだ3回ぐらい。体の使い方が難しくて、まっすぐ飛びません。コースには出てみたいけど、ある程度うまくならないとみんなに迷惑をかけるので、上達したら仲間に入れてもらおうと思います」

内本「変なところに飛ばしてくれた方が面白いから、全然参加してくれていいですよ(笑)。テニスをしていると上手いと思われがちですけど、僕もそこまで上手くないんです。ゴルフは止まっている球を打つので、テニスとは感覚が違うんですよね」

広岡「分かります(笑)。僕のリフレッシュ方法は、Netflix などでドラマや映画を観ることです。インドア派なので、家で一日中観続けることもあります。コロナ禍前は街に出かけることもありましたが、今はあまり外出できないので、もっぱら自宅ですね」

―お二人とも関西の出身です。広島のグルメでお気に入りは?
 内本「広島のお好み焼き、おいしいですね! 関西のものより広島の方が野菜が多くて、ヘルシーでおいしいです。もしかしたら邪道だと言われるかもしれないですが、マヨネーズをかけるのが好きです」

―広島でもマヨネーズをかける人は多いとおもいます。
 内本「あ、ほんとですか!良かった」

広岡「僕も広島のお好み焼きの方が好きです。キャベツの水分が程良く抜けていて、麺がパリパリなのが好みですね。僕もマヨネーズをかけるのが好きなんですが、1月始め頃に手術をした際、手術前検査で中性脂肪の数値が高くて、『マヨネーズとかよく食べてない?』と言われました。どうやらお好み焼きにかけ過ぎていたみたいです(笑)。あと、ウニが好物なので、広島に来て一番おいしいと思ったのはウニホーレンです」

(広島名物ウニホーレンが好物という広岡選手)

―今は外出や外食などあまりできないと思いますが、コロナ禍が明けたらしてみたいことはありますか?
 内本「僕は物欲が結構あるので、洋服やスニーカーなど買い物に行きたいです。あとは、ドライブ。そういえば僕が入社1年目の頃に免許取り立てで、広岡さんとドライブに行きました。香川県の父母ヶ浜に行ったら、カップルばっかりでした(笑)」

広岡「3時間ぐらいかかりましたよね。インスタ映えスポットでした(笑)。内本さんがドライブしたいというから行ったのに、帰りは内本さん1回も運転しなかったんですよ。助手席で寝ていました」

内本「気づいたら家に帰ってました(笑)」

―お二人は仲がいいんですね。
 内本「中学が同じなんです。僕が中3の時に広岡さんが中1で、そこから大学以外はずっと一緒。付き合いが長いのもあって、仲がいいんです」

―意外な一面など、お互いについて紹介し合ってください。
 内本「スポーツ選手って我が強い人が多いんですが、広岡さんは自分を持っているけど、優しいタイプだと思います。気が強くない方ですね」

広岡「内本さんを中学から見てずっと思っているんですけど、練習を真剣に取り組んでいるように見えないのに、試合になったらめちゃくちゃ動けるのがスゴイです。練習であんまりやっていないのに、なんで試合であんなにできるの?っていつも驚いています」
内本「いや、練習も真面目にやっているんですけど(笑)」

広岡「特にそう感じたのが、2020年12月のジャパングランプリでの決勝。内本さんがコート中を走り回っていて、『どんだけ走るんだ。あんなの練習で見たことないぞ』って思いました」

内本「隠し球です(笑)」

広岡「本番に強いんだろうなと思いますね」