取材記事

静寂から生まれる注目のパラ競技~銅メダル獲得の女子ゴールボール~

ゴールボール日女子日本代表 高橋利恵子

全員が平等に自由、チーム力でプレーする楽しさ

―どんなプレーに注目してほしいですか?

足音を立てたり、どこからボールが投げ出されるかわからないフェイクと呼ばれる動きで相手のディフェンスを崩す連携プレーを日本は得意としています。ぜひその動きを見ていただきたいです。それに、私自身試合中に、他選手に向けて指示出しの声も出しています。加えて、ゴールバーを叩いたり、手を叩いたり、鼻歌を歌ったり、ペナルティーにならない範囲で、相手チームにボールがどこから出てくるかわからなくするよう撹乱させる動きにもぜひ注目してもらいたい。「見えない中でも、この人はこんなこと考えているのか」と思って見てもらえると嬉しいです。それに、ベンチと喋れる時は、プレーの動きをベンチと一緒に確認して修正しています。プレー中の会話も含めて見ていただけると、より楽しいと思います。いや…、でもしょうもないこと喋ってたら恥ずかしいかな(笑)。

―ゴールボールの魅力とは

ゴールボールは、アイシェードを付けたらみんな見えない状態という点で、平等に出来るスポーツだと思っています。コート外は逆に「見える」人がベンチで声をかけるので「見える」「見えない」に関わらず、力を合わせて皆で協力するスポーツ。そこが一番の魅力です。

機会があればぜひ皆さんにゴールボールを体験していただきたいと思います。晴眼者せいがんしゃ※の方がまず最初にプレーすると、方向感覚がわからなくなり、コートの中で迷子になっちゃう人が多い。あれ?反対向いてる人おるじゃんって(笑)。でも投球動作は見えているのですごくいいボールを投げられるし、点もたくさん入るので楽しいと思いますよ。

私の所属するクラブチームのゴールボールプレイヤーの半分は晴眼者せいがんしゃの方です。晴眼者せいがんしゃの方達と試合もでき、誰もが平等に楽しめるスポーツです。

※晴眼者… 視覚に障害のない者

―ゴールボールを始めたのはいつですか?

高校2年生の時です。当時は筑波大学附属視覚特別支援学校という東京にある盲学校で寮生活をしてたんですが、ある日「社会人チームで人が足りない」という話がありました。その時に「寝とくだけでいいから、ちょっと来て」って言われ大会に出たんです。「寝とくだけですか。分かりました」みたいな流れで今に至ります(笑)。

―寝とくだけがすごく楽しくなった瞬間は?

その試合で、結局日本選手権に行くことになったのですが、ある試合でチームとしてペナルティーを出してしまったんです。ゴールボールでは、ペナルティーを出した場合一人で9mの範囲を守備し、相手の攻撃を1回受けることになります。その時の守備に私が選ばれ、対戦相手はペナルティーを決めるのが上手いと言われる選手。こちらのチームとしては、もう諦めて1点あげようというムードになっていたのですが、なんと私がボールを止めることができたんです。拍手をもらえ、「初心者のくせにやるな、あいつ!」みたいな雰囲気があったんですね。それがすごく嬉しくて楽しくて。一応、私、現在でもペナルティディフェンスは一番上手いとされています。自分で言うのも、ちょっと恥ずかしいんですが(笑)。

広島を思い出す、忘れられない家庭料理

―故郷、広島に帰ってきて、まずやりたいことは何ですか?

コロナ禍が収まれば行きたいところがたくさんあります。私は水族館が好きなので、まだ行けていないマリーナホップの水族館、それに宮島の水族館にも、もう一度行きたいです。そしてLECT内に入っているチチヤスプロデュースのスイーツ店。あそこでヨーグルトパフェを食べたんですが、すごく美味しかったので、絶対にもう一度食べたいです。それに、アウトレットモール(THE OUTLETS HIROSHIMA(ジ アウトレット広島))にもまだ行けていません。他にも、広島で行ってみたい場所がたくさんあります!

―メダリスト記者会見で、実家に帰ってお母さんやおばあちゃんのご飯を食べたいと言われていました。

まず、おばあちゃんが作ってくれる具沢山のうどんが食べたいです。私うどんが大好きなので。あと茶碗蒸し。おばあちゃん、たぶん自分で出汁を取っていると思うんです。「私は魚屋さんの娘じゃけ」ってよく言いよったから。それに、鯛のあら汁で作った鯛そうめんも早く食べたいです。おばあちゃんは「大野の郷土料理じゃ」って言ってるんだけど、おばあちゃんの家でしか食べたことないなぁ(笑)。でも、すごく美味しいんですよ。

お母さんの料理は、小さい頃から食べてきた慣れ親しんだ味。煮物、炒め物、全部食べたいですね。私は薄味が好きなんですが、今住んでいる関東の料理は味が少し濃いめなので。私の弟が濃い味派に転身したらしいので、弟のせいで味付けが変わってたらどうしよう…(笑)。お母さんの料理が変わらず薄味であることを祈ります!

―広島名物で好きな食べ物はありますか

やっぱりお好み焼ですね。一時期、ホットプレートで作るお好み焼が週一で食卓に出てくる時があったんですよ。もちろん私も作りますよ。昔から、自分のことは自分でしなさいと言われてきました。何度も作っているので慣れていますが、過去最高の失敗は、ヘラでひっくり返したとき机の上にお好み焼をダイブさせてしまったこと(笑)。それも含めて、作るのも食べるのも楽しいですよね。

―印象深い広島の匂い、音、景色は?

オタフクソースの香りで「広島に帰ってきたな」と感じます。あとカープの応援歌が、どこでも流れているのが広島ですね。そして鳩!広島の鳩は人慣れしているのかよく鳴くし、逃げずに近寄ってくるんですよ。危ないから白杖を振り回して逃がそうとするのですが、前に出よう出ようとする鳩がたくさんおるなって思うことがよくありました。広島の鳩は強いですよ(笑)。

―最後に皆さんにメッセージをお願いします

応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました。パラリンピックを機会に、少しでもゴールボールに興味を持っていただき、応援していただけると嬉しいです。機会があれば、是非体験もして頂きたいですし、一緒にゴールボールも行いたいと思います。コロナ禍が収まったら、一度広島に帰って一息つきたいです。今後とも宜しくお願いいたします!