COLUMN / INTERVIEW コラム・取材記事
2年連続全タイトル獲得へ。絶対負けられない勝負の広島シリーズ。
今回で3度目のインタビューとなるコカ・コーラレッドスパークスホッケー部。昨シーズンは、悲願の全タイトル獲得で見事三冠達成した。
9月に初戦を迎えたコカ・コーラレッドスパークスは、レギュラーステージ7戦を終え、6勝1分(SO戦1勝)、勝ち点20。例年優勝を争う、ライバルチーム「ソニー HC BRAVIA Ladies」と「南都銀行 SHOOTING STARS」との残り2戦となった。
コカ・コーラレッドスパークスは、10月17日時点でレギュラーステージ首位となり、女王としての貫禄は今季も健在。新型コロナウイルス感染症の影響により大会中止が相次ぐ中で、今季も全タイトル獲得へ挑む。
覇者として迎える日本リーグ
―9月4日に日本リーグの初戦を迎え、そこから4連勝(2021年9月16日時点)と好調。4試合終えていかがですか?
三橋選手:今年は東京五輪があり、事前合宿などの代表活動に参加している選手も多かったので、代表活動に参加しているメンバー※とチームに残っているメンバーが離れている期間が長かったんですよね。その分、まだ噛み合っていない部分がありますし、新加入選手とも、もう少しプレーを詰めていかないといけないというのは、この4試合を終えてチーム全体での共通認識です。
実力があって、即戦力になる選手が新加入してくれました。でも今年はオリンピックが終わるまで広島にいる時間が少なくて、オリンピックが終わって広島に帰ってきてから1か月くらいで日本リーグの初戦だったんです。
普段なら、寮でご飯を食べながら話すことも多いんですけど、今はコロナもあって黙食しないといけないので、なかなか話す機会がなかったんですよね。しっかりコミュニケーションをとれるのが練習の時くらいなので、積極的に話しかけに行くようにしています。
やっぱり新しいチームだと戦術に慣れていないこともあるのでプレーの話は特にしっかりするようにしています。
10月9日からの試合は、社会人チームとの対戦もあるので、そこに向けてもっともっとコミュニケーションとって、チームとして完成度を高めていきたいですね。
松本選手:今、三橋選手が言ったように、離れている期間が長かったメンバーに加えて、初めて一緒にプレーするメンバーもいる中で、プレーを合わせていくのは大変かなと思っていました。
オリンピックに向けた代表合宿期間が長くて、1週間帰ってきたらまた次の合宿へ行くみたいなサイクルだったんですよね。なので、なかなかチームで練習する時間がなかったので、これからしっかりコミュニケーションとって合わせていきたいです。
4試合終えて、私たちがやりたかったプレーができたかどうかをしっかりミーティングで確認して修正しながら練習してますし、試合で良かったところを今後の試合でも出せるようにしたいですね。
ここまでの4試合は大学チームとの対戦だったのですが、これからの試合はやはり社会人チームとの対戦になるので、プレーも一段と激しくなります。ただその中で、自分たちがやるべきことをしっかり発揮できるように準備していきたいと思っています。
※東京2020オリンピックのホッケー女子日本代表(通称さくらジャパン)へチーム最多8名(バックアップメンバー含む)が選出され、ピッチで躍動した。
―試合内容に対して厳しい反面、ポジティブに捉えられていますね
三橋選手:以前、別のインタビューでもお話したんですが、三年前に現監督のニール アンドリュー ホーグット(通称:ハーポさん)が就任して、凄く色んな考え方を学ばせて頂いたんです。昔は、たとえ勝利しても、試合で悪かったところだけをフォーカスして反省するのが当たり前で、負けた試合後なんて、チームの誰一人笑顔見せず、誰も話さず、お葬式みたいなこともありました(笑)。試合に勝ったことを喜んだり、良かったプレーを褒めるよりも前に、どうしても試合の悪かったところばかり注目してしまって、マイナスなミーティングをしてしまいがちなんです。
でも、ハーポさんは、負けた試合のミーティングで「試合は負けたけど良かったところは何だと思う?」っていう質問を私たちに投げかけてくれるんです。自分たちはマイナスなことしか探せないけど、監督はポジティブなことにもフォーカスしてくれるから、これまでとは違った考え方でプレーに臨めていますね。
―監督とのコミュニケーションが英語だと難しいこともありませんか?
松本選手:私、英語話せないので、基本ジェスチャーです(笑)。英語の話せるコーチや選手がいるので、すぐ呼んでます。
三橋選手:日本語特有のニュアンスを伝えるのが難しいことはありますけど、監督が陽気な方なので、監督からコミュニケーションをとってくれるんですよね。ホッケー以外の話ももちろんしてます。ほとんどの選手が英語を話せないですけど、簡単な英語でのコミュニケーションは大事にしてますね。
―選手・スタッフ関係なく、普段からチーム全体の雰囲気が良いんですね
松本選手:どのスポーツでもよくある光景だと思うんですけど、試合中って監督がピッチのギリギリに立って指示を出しますよね?でもハーポさんは、試合中にあまり指示を出さないんですよ。試合までの練習やミーティングでしっかり指示をしてくれますし、コミュニケーションをとっているので、試合になったら「さあ、行ってこい!」って感じです。私たちのことを信頼してくれているのを感じますし、すごくプレーしやすいです。
三橋選手:正直、プレー中に外からの指示が聞こえるとパニックになっちゃうんですよ(笑)。
松本選手:わかるわかる!(笑)
三橋選手:プレーしている私たちが見ている状況と外から見る状況って違うんですよね。プレーしているから余裕もないし。その状況の中で、自分たちがやろうとしていることがあるのに、外から違うプレーの指示が聞こえると、プレーしている選手同士の意思疎通ができなくなることもあるんです。
でもハーポさんは、普段の練習と試合までのミーティングが終わると「コーチ陣の仕事はこれで終わり。あとは自分たちがやるだけだ。」って言ってくれるんです。もちろんハーフタイムには指示を出してくれますが、「信頼してもらえている」ことでメンタル的にもプレーしやすいですね。
―チームとして取り組んできたことが昨シーズンの「三冠獲得」に繋がりました。追われる立場のプレッシャーはありますか?
三橋選手:ある?(笑)
松本選手:そこに関しては、あんまりプレッシャーはないですね(笑)。競った試合とか先制点を取られる試合展開でも「自分たちなら大丈夫!」って思えるので。でも、昨年の初戦(vs立命館 2-1●)を落としてしまったのもあって、今年の初戦は緊張しました。
三橋選手:社会人チームだと、相手もプレッシャーがある中での対戦ですけど、学生は、変なプレッシャーもなく思いっきりプレーしてきます。でも私たちは勝って当たり前、絶対負けられないっていうプレッシャーがあるので、やりづらさはありますね。特に昨年の敗戦があったので、私も初戦はプレッシャーを感じました。
―プレッシャーがある中、初戦の重要な先制点と追加点を決めたのは松本選手でしたね
松本選手:第1クォーターのシュートがノーゴールになってしまって、そのまま第2クォーターに入ったんです。良い試合展開でも、なかなか得点できなくて最後に自分たちのミスから失点してしまうこともあるので、まず1点!を意識してました。正直、得点した喜びよりホッとしましたね。